2007年9月20日木曜日

和幸の鎮静剤

  和幸CDの3曲目に「鎮静剤」という曲があった。何ともやるせない残酷な内容の詩だ。作曲:高田渡となっていた。

  高田は、60年代から活動していたフォークシンガーで、「自衛隊に入ろう」「値上げ」「生活の柄」など、人をおちょくったり体制に咬みついたり、強い個性で人間模様を歌い、若かった私はおおいに共感を覚えたものだった。このようなキツい詩を見つけて歌にすることは彼らしいやり方だったと言えるだろう。残念なことに05年逝去。

  高田渡の「鎮静剤」は聞いたことがなかった。オリジナルを聞いてみないことには何とも言いようがないのでCDを買った。その結果は、和幸と高田渡を比較しても意味は無い、高田渡が歌う鎮静剤を聴いただけで、それでいい。

  鎮静剤 (LE CALMANT)
  詩:マリー・ローランサン(Marie Laurencin 画家だそうだ)
退屈な女より もっと哀れなのは 悲しい女です。
悲しい女より もっと哀れなのは 不幸な女です。
不幸な女より もっと哀れなのは 病気の女です。
病気の女より もっと哀れなのは 捨てられた女です。
捨てられた女より もっと哀れなのは よるべない女です。
よるべない女より もっと哀れなのは 追われた女です。
追われた女より もっと哀れなのは 死んだ女です。
死んだ女より もっと哀れなのは 忘れられた女です。
  訳:堀口大學(詩人、フランス文学者)

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